Book Meter

読書の記録。読みっぱなしは勿体無い。

グレートギャッツビー フィッツジェラルド

若かりし頃の夢を追いかけ、破れた男の物語。

華麗なるギャッツビーである。彼は人生の春に出会った女をただ純粋に追いかけた。手に届くものと信じて、人の気持ちは変わらないと信じて。

とりあえずトムとデイジーはひどすぎる。特にデイジーはあまりにもひどい。一度はギャッツビーになびくかのように見せて、立場がかわった瞬間に逃げ出すなんて。あとそんなにいい女とは思わないのだが。。。トムはある意味何も知らないからこそ救われている。しかし結局は二人とも正しい決断をしたのだと思う。ギャッツビーも嘘つきすぎ、本当の自分を隠しすぎ。しかし彼の努力が報われなかったのは残念である。

努力すれば報われるなんて考えるのはあさましいかな~応援したくはなるけどね、それが実弾になるかどうかはこしらえた人次第というところもあるだろう。運、タイミング、人、、、世の中は落とし穴であふれている。

アメリカの社会の闇が垣間見れる。金持ちとそうでないものの差。生まれ育った家柄。

哲学のすすめ 岩崎武雄

~~~ 突然の哲学書 ~~~

 なぜ哲学書を手に取ることになったのかというと、本当は夏休みの暇を持て余してついに”ロジックさえちゃんとしていれば小学生でも解けるが、非常に頭を使う問題”を解きたいという謎の欲求に駆られたからである。で、論理といえば野矢茂樹野矢茂樹といえば哲学。論理の前に哲学に触れておこうと思い哲学書に手を伸ばす運びとなった。

 さて、この本。ガッチガチの哲学書というわけではない。

出版した講談社曰く

教養は万人が身をもって養い想像すべきものであって、一部の専門家の占有物として、ただ一方的に人々の手元に配布され伝達されうるものではありません。 ー中略ー もっぱら万人の魂に生ずる初発的かつ根本的な問題をとらえ、掘り起こし、手引きし、しかも最新の知識への展望を万人に確立させる書物を、新しく世の中に送り出したいと念願しています。

 とのこと。要するに難しいことを誰にでもわかるように書いてまっせ、ということである。確かに読んだ感じ非常に分かりやすい。比較する対象としてはおかしいかもしれないが、素粒子論の入門書よりはるかに日常的でわかりやすい。そして著者は読者に「原理的な価値判断をするべし。それこそが万人が無意識に持つ哲学である。」とのメッセージを投げる。私ももれなくそのメッセージを受け取りました(たぶん)。

 というわけで読んでる途中に考えた、塩野七生の歴史家としての振る舞いについて整理したいと思う。

著者によれば価値判断は2種類あるとのこと。

 ①原理的な価値判断

 ②具体的な事物についての価値判断

例えば、「Aさんは誰にでも優しく、正義感があふれているから善人だ」と考えるとする。これは②に該当する。「誰にでも優しく、正義感があふれている」という具体的事実に基づいて「Aは善人である」という価値判断を行っている。

では①は何なのか。それは「誰にでも優しく、正義感にあふれた人は善人だ」と判断することだ。個別の事情を鑑みるわけではない。前提としてそこに立っているのである。これこそが原理的な価値判断に該当する。②については2次的な価値判断に過ぎない。そして①こそが哲学なのだと。

 話は逸れたが、塩野七生について。歴史は紛れもく学問の対象である。しかし歴史家はただ時系列に出来事を叙述するだけなのか?否、それでは学問とは言えない。では歴史を学問足らしめる要素で欠かせないものは?答えは哲学である。歴史家の持つ、哲学。そういった意味で塩野七生は歴史を通して塩野七生の哲学を著書で雄弁に語っているのだろうと思う。誰が史実に基づいていない、奴は歴史家ではないと批判しようとも彼女はれっきとした自身の哲学に基づいた歴史を述べているのだ。

 

 なんの考察なのかわからなくなってしまったが、とりま哲学の門を叩ける本である。

イノセント・デイズ 早見和真

「あなたが最後。あなたに必要とされなくなったら私は自ら命を絶ちます。」

執拗なストーカー行為の果て、交際相手の妻と双子の娘の住む家に火を放ち、3人の命を奪った死刑囚の女。残虐な犯行に至った女の生涯を彼女の人生にかかわった人物の視点から描く社会派ミステリー。

死刑執行の直前の場面、死ぬために彼女が見せた最初で最後の抵抗に強烈な生への執着が見られる。彼女はどこまでも純粋なのだと思う。妻を亡くして憔悴する養父を思いやる姿も、友人の未来のために罪を被ることも、暴力をふるう恋人に従う姿も、そして整形した理由も。一貫してどこかの誰かから必要とされるために自身を殺す姿に美しさを感じる。

ただ現実的な立場から物を言わせてもらうとそれは少し傲慢なのでは?と思わずにはいられない。なぜ自分を守るために動かないのか。他人に生きる意味を求める姿に人間としての本来の姿からかけ離れていると感じる。そのような歪んだ考えに至ったのは周りの環境のせいなのか?また、そのような行為を働くことで相手に残す傷跡を考えたことはあるのだろうか?誰しもが時に驚くくらい残酷になれるのと同じで変に罪への意識を持つことがある。いっそ自分勝手に振り回してくれたほうが記憶には残らないし割り切れるものもあると思う。明確な悪意を持って攻撃する相手にはこちら側も明確に身を守ることができる。しかし悪意なのか善意なのかわからない態度を取られたら?例えばひどく殴られた後に涙を流しながら土下座をされたら?相手を糾弾せず許してやろうかと思ってしまう。それを彼女は無意識のうちに行っているのではないか。もうこれは誰が悪いとかいう問題じゃない。私も自身の意見が必ずしも正しいとは思わないが、以上の点で違和感を感じた。

オーデュボンの祈り 伊坂幸太郎

コンビニ強盗を働いた主人公はいつの間にやら”存在しない”島にいた。その島には未来を予言することができるカカシ、人殺しを認められている美男、嘘しかつかない画家・・・など、個性的(常識はずれ)な人々が暮らしていた。空間設定は完全にファンタジーの世界だがそれ以外の部分は妙に現実的である。特に登場人物の心理がファンタジーの世界に住んでいるとは思えないほどリアルな気がする。読んでいる途中で村上春樹的な意味の分からないパートにいつか突入するのではないかと不安感を覚えたが、そんなことはなかった。ちゃんとフラグはすべて回収されたと思われる。ただし一点残念なのが終盤に差し掛かったところで結末が完全に予想できてしまうこと。もう少し裏切ってほしかったーーー。

コンビニ人間 村田沙也香

コンビニで働く女性の話。独り身で定職につかない女性は早く結婚したほうが幸せだという世間の風潮を蹴散らして生きてるところは支持したいけどそれ以外の部分が闇すぎる。しかし誰が何と言おうとなんと思おうと彼女は幸せなのだろう。

ブルータスの心臓 東野圭吾

個人的にはすごく後味が悪かった。ロボットメーカーのエリートが繰り広げる権力争いの話。不都合なことを知る人物を殺せばいいってもんじゃないでしょ。其処らへんからエリートの冷酷性を感じる。またそれと同時に倫理を顧みないあたりに強烈な人間性を感じます。おとなしく警察に捕まればいいものを…

龍は眠る 宮部みゆき

これは二人の少年が繰り広げる闘争の記録である。私は決して当事者ではない。

人の考えていることが分かる能力を持つと何が起こるのか。我々は日常的に本音を語らず、表面上うまくいくように取り計らう。そうすることで社会は成り立っているといっても過言ではない。しかし他人のうまい言動の裏に隠された本音に晒され続けるとどうなるか。息苦しくて仕方ないだろう。よっぽど厚かましい人間でなくては人生を全うすることなどできないだろう。そして何より人を信用することができなくなる。

持つものの責任を全うするのか。あるいは見て見ぬふりを続けるのか。二人の少年の能力に対するそれぞれが持つ見解の違いには息苦しさを覚える。なぜならばどちらの立場も理解できるから。