Book Meter

読書の記録。読みっぱなしは勿体無い。

龍は眠る 宮部みゆき

これは二人の少年が繰り広げる闘争の記録である。私は決して当事者ではない。

人の考えていることが分かる能力を持つと何が起こるのか。我々は日常的に本音を語らず、表面上うまくいくように取り計らう。そうすることで社会は成り立っているといっても過言ではない。しかし他人のうまい言動の裏に隠された本音に晒され続けるとどうなるか。息苦しくて仕方ないだろう。よっぽど厚かましい人間でなくては人生を全うすることなどできないだろう。そして何より人を信用することができなくなる。

持つものの責任を全うするのか。あるいは見て見ぬふりを続けるのか。二人の少年の能力に対するそれぞれが持つ見解の違いには息苦しさを覚える。なぜならばどちらの立場も理解できるから。