Book Meter

読書の記録。読みっぱなしは勿体無い。

カンガルー日和 村上春樹

村上春樹の短編集。ウィットに富んだ文章表現が素敵です。

私としては村上春樹の長編はファンタジーすぎてあまり好きではない(ついていけない)(特に1Q84とか海辺のカフカとかノルウェーの森とか)のだけど、5ページほどの短編なら読める。むしろ好き。形而上的な日常を思い知らされる。

 

最近、ミステリー小説ばかりを読んでいた。日常系のふんわり小説はどうも教訓的過ぎて「はいはいもういいよ、わかったよ」って読んでいる途中になってしまい、避けていたからだ。しかしこの本を読んでその考えを改めました。やっぱり日常系も心が洗われるなあと。ミステリーは必ず人が死ぬから。(東野圭吾はもう読まない)

 

さて、本の内容で特に惹かれたのは

「4月のある晴れた朝に100%の女の子に出会うことについて」

寒くもなく暑くもなく、少し浮足立つ4月の晴れた朝。飲み会明けの朝なのか、早起きした朝なのか分からないが、人通りの少ない通りを一人歩いている。そんな時、ふとすれ違った女の子がとてつもなく魅力的に見えることはないだろうか。女の子といってもきっともう30近い。100%とといってもモデルみたいにかわいいだとか、もろタイプだとかそういうことでもない。でもなぜかその人は可愛らしく美しく、手に届かないような純粋さを持っている。完璧な女の子なのだ。

 

人は年を経るごとに何かを失い、そして気づかないまま日常を過ごしている。

そんなノスタルジックさを味わえます。